卒寿記念
小林武史ヴァイオリン・リサイタル
小林武史ヴァイオリン・リサイタルによせて
藤田由之
昨年11月のリサイタルの際にはすでに予告されていた2020年秋の、小林武史ヴァイオリンリサイタルが、10月24日に銀座王子ホールでもたれることになったという。“親方”(近衛秀麿)のところで初めて会ってからでも、70年近くになろうという武史との交際は、ヴァイオリニストとしての彼というよりも、当然音楽家としての存在の大きさが、つねにわれわれの心を支えているにちがいない。
もちろん彼が演奏したいと思い、みずからえらぶレパートリーは、彼自身の美学、そして音楽として確信をもっているものであるにちがいない。
團作品をはじめ、伊福部のソナタ、そしてエネスコのソナタは、もちろん昨年すでにえらんでいたものであり、そこには、これまでも数多く共演してきているピアノの野平一郎の名も記されており、今回も心から楽しみにしている。
出演者プロフィール
■ 小林武史(ヴァイオリン) Takeshi Kobayashi/Violin
1931年生まれ。鈴木鎮一氏に師事。東響、チェコ国立ブルノ・フィル、オーストリア・リンツ州立ブルックナー管、読売日響のコンサートマスターを歴任。オーケストラ退団後はソロ活動に専念し、海外(ヨーロッパ、旧ソ連、北米、南米、中近東、アジア全域)に演奏旅行。著名な音楽祭に招待され出演。国際交流基金派遣の文化使節としての派遣は10回に及び、海外での青少年の指導にも力を注ぐ。桐朋学園大学、東京音楽大学講師を歴任。長きにわたり宮城県中新田バッハホール音楽院院長を務め、地域の文化振興発展に多大な功績を残した。
第18回日本音楽コンクール第1位(1949)、日本音楽舞踊批評家クラブ賞(1960)、文化庁芸術祭賞(1988)、文化庁芸術祭大賞(1996)、横浜文化賞(2013)を受賞。
小林武史のために作曲された作品は数多く、初演並びに国内外でも多数演奏を行う。室内合奏団「コレギウム・ムジクム東京」主宰。
CDに團 伊玖磨:ファンタジア、マニャール:ソナタ、エネスコ:ソナタ、野平一郎:デュオ・コンチェルタンテなど11枚をリリース。著書に「ヴァイオリン一挺、世界独り歩き」(芸術現代社、1980)、「ファンタジア わが人生」(神奈川新聞社、2013)がある。他にもエッセイ等を新聞、雑誌に掲載。
■ 野平一郎(ピアノ) Ichiro Nodaira/Piano
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