モルゴーア・クァルテット 第51回定期演奏会
『退廃音楽展』開催 !!
日時 | 2021年6月23日(水)19時(18時15分開場) |
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会場 | 東京文化会館 小ホール(東京・上野) |
料金 |
指定席(限定32席)¥4,500 一般(自由席)¥4,000、学生(自由席)¥2,000 ※指定席はミリオンチケット(オンライン・チケットサービス)のみで取扱い。 |
出演 |
第1ヴァイオリン:荒井英治 第2ヴァイオリン:戸澤哲夫 ヴィオラ:小野富士 チェロ:藤森亮一 |
曲目 |
ヴィクトル・ウールマン/弦楽四重奏曲 第3番(1943) フーゴ・ディストラー/弦楽四重奏曲 イ短調 Op.20-2(1939) エルンスト・クシェネク/弦楽四重奏曲 第3番 Op.20(1923) |
[チケット取扱い] 東京文化会館チケットサービス TEL.03-5685-0650 e+(イープラス) https://eplus.jp ローソンチケット TEL.0570-000-407 ミリオンコンサート協会 TEL.03-3501-5638 ミリオンチケット(オンライン・チケットサービス) ※ミリオンチケットからのお申込みはセブンイレブンでのお引き取りとなります。 [コンサートマネージメント] ミリオンコンサート協会 TEL.03-3501-5638 |
今回のプログラムは第二次世界大戦に深く結び付いている曲です。モルゴーアが度々取り上げるテーマですが、個人が大きな波に押し流され翻弄された時代、遺された作品は今において何を伝えてくれるのか、過去から現在に突きつけられたこの命題に、弾き手、聴き手を問わず取り組むことになることでしょう。
ウールマンはナチスによって殺害されたユダヤ系チェコ人です。ツェムリンスキーやシェーンベルクにもその才能を認められましたが、カトリックに改宗していたにもかかわらず、テレジンに収監され、アウシュヴィッツに移送されたのです。この第3番の四重奏曲は1943年のテレジン収容所で書き上げられました。私たちは作曲者の叫びと祈りに心して耳を傾けるしかないでしょう。
ディストラーはリューベックの教会オルガニストとして働きながら教会音楽の研究と作曲に取り組んでいました。反ナチスの教会牧師と親しかったことからディストラーもナチスからの監視の目が行くようになります。『チェンバロ協奏曲』には頽廃的との烙印を押されました。ベルリンの音大で教授職にありつけたものの、あろうことか、徴兵の召集令状が届くのです。銃を持つことへの苦悩の果てに彼が選んだのはガス自殺でした。
ディストラーの存在を教示頂いた音楽評論家のT氏から頂いた四重奏曲の楽譜には無数の問題点が見つかりました。それらを整理し解決するには、かなり時間がかかりましたが、なんとか整えた形で皆さまにお届けできることになり、嬉しい限りです。
クシェネクは知名度は比較的高い作曲家で、橋本國彦の師匠でもあります。
カメレオン作曲家との異名を持ちますが、1925〜26年の歌劇『ジョニーは演奏する』が名高いでしょう。このジャズを大胆に取り入れた作風はウィーン・ナチス党により『退廃音楽』として槍玉にあがり、のちに上演禁止になりました。
今回取り上げます第3番の四重奏曲は『ジョニー……』の2年前の作品です。
幾つかの部分に分けられるものの、連続して繋がります。保守的なものと前衛的なものが渾然一体となり、とっちらかっているようで、全体として機能しているという、謎のような曲です。ショスタコーヴィチでいえば交響曲第4番のような作品だと言えるでしょうか。
あいちトリエンナーレの『表現の不自由展』で大きな問題として噴出した表現の自由。芸術に携わる人間として、お上による制限などはあってはならない立場であることは言うまでもない事ですが、過去の歴史はそういった中でも創作は続けられ、決して表現の自由は抹殺することはできないことを証明してくれています。
モルゴーア・クァルテットはこれら『退廃音楽三選』に熱い魂をこめて演奏したいと思います。
荒井英治
出演者プロフィール
■ 荒井英治(第1ヴァイオリン) Eiji Arai/1st Violin
元東京フィルハーモニー交響楽団 ソロコンサートマスター■ 戸澤哲夫(第2ヴァイオリン) Tetsuo Tozawa/2nd Violin
東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団 コンサートマスター■ 小野富士(ヴィオラ) Onofuji/Viola
元NHK交響楽団 次席ヴィオラ奏者■ 藤森亮一(チェロ) Ryoichi Fujimori/Violoncello
NHK交響楽団 首席チェロ奏者モルゴーア・クァルテット MORGAUA QUARTET/String Quartet
MORGAUA QUARTET(モルゴーア・クァルテット)は、ショスタコーヴィチの残した15曲の弦楽四重奏曲を演奏するため、1992年秋に結成された弦楽四重奏団。翌'93年6月に第1回定期演奏会を開始。
2001年1月の第14回定期演奏会でショスタコーヴィチの残した弦楽四重奏曲全15曲を完奏。
同年4月、第2ヴァイオリンを青木高志から戸澤哲夫に交代。
'01年11月からは「トリトン・アーツ・ネットワーク」との共催公演で《モルゴーア・クァルテット ショスタコーヴィチ・シリーズ》を5回に亘って行ない、'03年12月に2度目の完奏。
'03年6月の第19回定期演奏会で、ベートーヴェンの後期弦楽四重奏曲を完奏。
'05年4月、マイスター・ミュージックから《ボロディン:弦楽四重奏曲集》を発売。
'06年6月、第25回定期演奏会で、バルトークの弦楽四重奏曲全6曲を完奏。同年9月には「トリトン・アーツ・ネットワーク」との共催でショスタコーヴィチ生誕100周年記念弦楽四重奏曲全曲演奏会を行ない、3日間で全15曲を3度目の完奏。
'08年11月、東京フィルハーモニー交響楽団 第761回サントリー定期シリーズに、マルティヌー作曲「弦楽四重奏と管弦楽のための協奏曲」のソリストとして招聘され、弦楽四重奏団としての高いクオリティを評価された。
'09年1月の第30回定期演奏会で、ベートーヴェン中期弦楽四重奏曲を完奏。
'12年6月、結成20周年記念ガラコンサート「20th Anniversary Morgaua Quartet GALA」を福島、東京、大阪で開催。'12年6月と'14年5月、そして'17年3月に日本コロムビアからリリースした、荒井英治編曲のプログレッシヴ・ロック・アルバム《21世紀の精神正常者たち》《原始心母の危機》《トリビュートロジー》により、ボーダーレスな弦楽四重奏団としての高い評価を受ける。
ショスタコーヴィチ没後40年(2015)から生誕110年(2016)をつなぐ「ショスタコーヴィチ弦楽四重奏曲全15曲演奏会」を'15年大晦日から'16年元旦にかけて「横浜みなとみらいホール小ホール」で開催。瞠目のプログラムで多くの聴衆を集め、4度目の完奏。
'17年6月、結成25周年記念コンサートを福島、東京(vol.1)で、'18年1月にvol.2を東京で開催。
'98年1月、第10回「村松賞」、'11年5月、2010年度「アリオン賞」、'16年9月、第14回「佐川吉男音楽賞 奨励賞」、'17年9月「第47回JXTG音楽賞 洋楽部門本賞」、'18年6月「第28回みんゆう県民大賞 芸術文化賞」を受賞。
モルゴーア・クァルテットの斬新なプログラムと曲の核心に迫る演奏は、常に話題と熱狂を呼んでいる。
モルゴーアは、エスペラント語(morgaŭa=明日の)に原意を持つ。