
円熟の時を迎え、今ベートーヴェンの神髄に迫る
渡邉康雄─ベートーヴェン ピアノ協奏曲の世界─
日時 |
2019年3月17日(日)14時 |
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会場 | 紀尾井ホール(東京・紀尾井町) |
料金 | 全席指定 SS席¥10,000 S席¥8,000 A席¥6,000 |
出演 |
ピアノ・指揮:渡邉康雄 管弦楽:オーケストラ・アンサンブル金沢 |
曲目 |
ベートーヴェン/ピアノ協奏曲 第1番 ハ長調 Op.15 ベートーヴェン/ピアノ協奏曲 第5番 変ホ長調 Op.73「皇帝」 |
[後援] 日本ベートーヴェンクライス 渡邉康雄・アンサンブル金沢コンサート支援の会 ハーモニーの家の会 東京藝術大学音楽学部附属音楽高等学校同窓会 前明植物カプセル株式会社 [チケット取扱い] ミリオンチケット(オンライン・チケットサービス) 紀尾井ホールチケットセンター TEL.03-3237-0061 e+(イープラス)http://eplus.jp [コンサートマネジメント] ミリオンコンサート協会 TEL.03-3501-5638 公益財団法人 日本演奏連盟/山田康子奨励・助成コンサート |
今すぐにでも聴きたい思い
丹羽正明(音楽評論家)
ピアニストの渡邉康雄さんは、日本フィルハーモニー交響楽団の創立指揮者・渡邉暁雄氏の長男という生まれなので当然とも言えるが、指揮活動にも以前から積極的に取り組んで来た方だ。
今回は、指揮とピアニストを兼ねる所謂「弾き振り」をするというのが、また改めて注目されるところである。登場する「オーケストラ・アンサンブル金沢」は、創立30周年を迎え、いつも誠実な演奏によって信頼を得ている室内オーケストラで、今回のようなベートーヴェンの協奏曲の演奏には、誠にふさわしい共演者であるということが出来る。
渡邉さんは、リサイタルでは良くステージから客席に向かって語り掛け、選曲の狙いや作品への思いを話される事があるが、これがまた、その真摯な人柄を伝える場面となり、聴衆との間の距離を縮める得難い時間になっている。
ここに選ばれた二つの協奏曲は、初めの「第一番」が、まだ20代の終わりにあったベートーヴェンの、若々しくも功名心に溢れる足取りを実感できる溌剌としたコンチェルト。次の「第五番〈皇帝〉」は、「傑作の森」と呼ばれる時期に書かれた畢生(ひっせい)の大作で、当時、難聴に苦しんでいたベートーヴェンが、自身での初演を諦め、第三者による演奏を見越して、カデンツァなどを克明に譜面に書き込んだと伝えられている。
そういえば「第一番」はここ暫く聴く機会がなかった曲であるし、私も今すぐにでも聴きたい思いが湧いてきた。
出演者プロフィール
■渡邉康雄(ピアノ、指揮) Yasuo Watanabe/Piano, Conductor
日本フィル創立指揮者の渡邉曉雄の長男として1949年東京に生まれ、東京藝術大学附属高校の作曲科を卒業後に渡米し、ニューイングランド音楽院とジュリアード音楽院に学ぶ。
1972年に東京文化会館における東京フィルの定期演奏会において、ブラームスのピアノ協奏曲第2番を父子共演してピアニストとしてデビュー。以後、我が国はもとより、世界各国の著名指揮者たちと協奏曲を多数協演する。
2007年に音楽監督を務めた第7回津山国際総合音楽祭において九州響を率いてデリック・クック版マーラー/交響曲第10番を指揮し、大成功に導いた。他に日本フィル、アンサンブル金沢、東京都響、京都市響、群響などを指揮、神戸室内合奏団の常任指揮者を4年間務めた。
音楽学部長を歴任したくらしき作陽大学の教授職を2015年3月末に定年退職し、現在は同大学名誉教授。他に桐朋学園大学非常勤講師、若い音楽家のためのチャイコフスキー国際コンクール審査員、東京藝術大学音楽学部附属音楽高校同窓会会長、北欧音楽祭すわ名誉会長などを務めている。
2015年より3年連続して秋に続けられた東京でのリサイタルは、多くのマスコミなどと共に各専門家の間でも絶賛された。
■オーケストラ・アンサンブル金沢(管弦楽) Orchestra Ensemble Kanazawa/Orchestra
1988年、世界的指揮者、故岩城宏之が創設音楽監督(現在、永久名誉音楽監督)を務め、多くの外国人を含む40名からなる日本最初のプロの室内オーケストラとして石川県と金沢市が設立。2001年金沢駅東口に開館した石川県立音楽堂を本拠地とし、世界的アーティストとの共演による定期公演や、北陸、東京、大阪、名古屋での定期公演など年間約100公演を行っている。
これまでにヨーロッパ、オセアニア、アジア各国において20回の海外公演を実施。設立時よりコンポーザー・イン・レジデンス(現コンポーザー・オブ・ザ・イヤー)制を実施、多くの委嘱作品を初演、CD化している。ジュニアの指導、学生との共演、邦楽との共同制作などオーケストラ育成・普及活動にも積極的に取り組んでいる。ドイツグラモフォン、ワーナーミュージックジャパン、エイベックスなどメジャーレーベルより90枚を超えるCDを発売。
2007年より18年3月まで、井上道義が音楽監督を務め、18年9月よりマルク・ミンコフスキが新たに芸術監督を務める。